旅館大村屋
2025年03月28日


嬉野温泉で一番の歴史を持つ『旅館 大村屋』
創業は天保元年(1830年)と言われているが大正11年の温泉街一帯の大火によりそれ以前の資料は残されていない為、実際はもっと長い歴史を持つのではないかとも言われている。
バブル絶頂期の旅館の賑わいもバブル崩壊後の旅館の厳しさも、全て目の当たりにして育ってきたのは15代目となる北川健太さんだ。
嬉野への良いイメージを持たぬまま上京したが、24歳で事業継承の為地元へ戻る事となる。待っていたのは老舗旅館の代償となる旅館の老朽化問題と破綻寸前の経営問題。
変化しなければならない状況から今後の旅館大村屋だけではなく、今後の嬉野をも見据える北川さんは、現在も前を向き未来を描いて走り続けている。
これまでの老舗大村屋の良さを残しながら新しいものを受け入れて変化していく。それは容易い事ではない。歴史が長い旅館だけに苦渋の選択も沢山あったのだろうと柔らかな口調ながらも明確なビジョンを持っている北川さんの人柄から感じ取る事ができる。経営は勿論これからの人口減少を考え、より地元の人間が助け合って協力をした方がいい。
その為にビジネスも勿論大切だが他にも大切な事があるという。


旅館大村屋は2024年にクラウドファンディングも利用しながら大浴場をリニューアルした。
日帰り入浴には毎日通ってくれている馴染みのお客様もいるのだそう。嬉野に住みながらまだ嬉野温泉に行った事がないという子供達も数多く存在する。温泉のある生活が日常化し、もっと市民にも近い存在であってほしいというのが北川さんの願いだ。
館内のミュージックバーにて行われる、トーク対談やライブなどのイベントは、観光客は勿論、地元の方への新たなエンタメを提供している。
また、北川さん自身も今だからこそ改めて感じる嬉野の良さを街歩きなどで嬉野の魅力として案内し、嬉野の個人商店の紹介をSNS等で発信。
地元建築家と組み「施設修繕のサブスク利用」という新しいシステムを提案し、旅館だけに留まらない取り組みも光っている。人と人が繋がり人と人を繋げ、楽しさを持って動いていれば自然と大切なものが見えてくる。ただの旅館ではない大村屋に足を運べば貴方の新たな気づきにも繋がるかもしれない。

