森うなぎ屋

2025年03月28日
人としての在り方を見つめなおせる鰻屋『森うなぎ屋』 国内産の鰻を「木炭」でじっくり手焼きで焼き上げる佐賀を代表する鰻屋、「森うなぎ屋」は創業22年。テイクアウト専門店として70年以上の歴史を持ち高品質な鰻と高い焼き技の技術で伝統を守っている。創業当時はムツゴロウを焼く事から始まり、3代目になる森三喜男さんのお母様が昭和52年頃から鰻を焼き始めた。鰻に使用しているタレはその時からのレシピを引き継いでおり、水、醤油、三温糖、酒などシンプルで無添加、サラッとした舌触りが特徴だ。敢えて継ぎ足しを選ばず、同じ味を作り守る為、従業員が皆レシピを把握している。また店頭には鰻だけではなく、ホッケや鯵、鰯の塩焼きなど日によって並ぶ事もある。トーセン農場から直接仕入れている産みたての新鮮な卵も人気が高い。長年愛されてきた鰻屋ではあるが、3代目としてお店を続けて行く事は容易い事ではない。三喜男さんが引き継いだ当初は、夏の繁忙期以外、お茶の販売を手伝ったり、接客のノウハウも自ら現場で身につけてきた。店頭での三喜男さんの言葉のトーンや笑顔はお店に入った瞬間、空気を明るくしてくれ来店した側もとても気持ちが良い。人生相談も多いというのも納得だ。
時代のニーズにあった古き良きものを守りながら、新しいものも開拓していきたいという言葉通り、有田鶏や鰤の照り煮、鯨の刺身などの品質を保持した冷凍食品の販売、通販やふるさと納税、企業コンペの商品他、インバウンドのお客様も増えた事から今後は海外との取引も増える予定となっている。鰻の焼き場の温度は70℃〜80℃を越え、飲む水は1日5リットル程が当たり前だという。そこまでして長年続けられる想いはどんな所にあるのか尋ねてみた。「「いただきます」の意味は本来、生き物を殺めて生活を営む人間の生き物に対しての礼儀の言葉。その生き物に対して最高の状態で食卓に並んで欲しい。いただく人の笑顔が溢れる事が生き物達の供養になる。」礼儀と心を大切に商売を続ける優しさ溢れるなんとも三喜男さんらしい回答だなと思った。
最近は熊本や大分などの県外から、鰻を買い求める事だけを目的に来店してくれるお客様も増えてきたという。国内外を問わず今後更に森うなぎ屋ファンが増えるだろう。